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正解よりも最適解

震災などの災害時のSNS(主にX(旧Twitter))のデマ情報を防ぐことはできない理由

震災時にSNS、主にX(旧Twitter))で広がるデマ。

世の中が大変なときにさらに混乱を拡大させるような最低な行為ですが、そういう時を狙ったデマが必ず起きます。

情報が必要なときにそのデマによって人命にかかわることになるとしても、そのようなデマを広げる人が居ます。

このデマを防ぐことはできるのか。
また、デマに遭遇せずにSNSを活用することはできるのか。

 

残念ながら、それは無理だと言わざるを得ません。

デマが発生し、広がる仕組みとそれが沈静化する過程を調べた研究結果などを見る限りでは、災害や事件などの人々が強い不安を抱くときのデマは拡散力が強く、それを無視することも難しい状況にあることが多いようです。

逆に言えば、無理だと割り切って、デマは必ず飛んでくるんだという前提で向き合うほうが良いし、デマに自分も騙されることがあるという前提で行動をすることが予防になるようです。

そもそも”デマ”って何?デマの定義

デマって一体なんやねん・・・?というデマそのものの定義をまず整理しましょう。

社会心理学において,デマとは「意図的な情報操作」のことで,誤情報,ウソだと知っていて情報を流したり,わざと間違った情報を流すことを言う。

うわさとパニック1) - 立命館大学人間科学研究所
https://www.ritsumeihuman.com/uploads/publication/ningen_07/193-203sato.pdf

このような定義づけが為されています。

意図的な情報操作をデマと言うそうです。

X(旧Twitter))のデマの特徴

では、X(旧Twitter))で広がるデマ、広がりやすいデマにはどのようなものがあるのか。

そこには次のような特徴があるそうです。

  1. 行動を促す
  2. ネガティブ
  3. 不安をおある内容

※参考:https://literacy-hub.jp/?id=4835

この3つの特徴を捉えているデマは拡散されやすいそうです。

加えて、そこに読み手の次の心理状態が合わさると「拡散しなければ!」という動機に繋がり、一気に広がるようです。

災害時にはデマや根拠のないうわさが生まれ、そして拡散するのか。関谷さんはその主な要因を3つに分類します。「不安」「怒り」そして「善意」です。

https://www3.nhk.or.jp/news/special/saigai/select-news/20191219_01.html

熊本地震時には、動物園からライオンが逃走した!なんてデマが拡散されたこともありました。

これも不安が根底にあり、「注意して!」という善意から拡散されたと言っても過言ではないと思います。

そういった善意からのデマ拡散をあなたの周りの人も、あなた自身もやってしまう可能性はありますし、それがデマ拡散のバトンリレーを次の人へと渡してしまうことにもなります。

「デマツイートなんか信じなければいい」では対処が難しい理由

「デマツイートなんか、そもそも違和感を覚えるような変な内容なんだからすぐに見抜けるよ」

なんて人も少なくないと思いますが、それは冷静な状況だからこそ言えることなのかもしれません。

震災ではなくコロナワクチンのデマについて調べた調査では、デマを広げてしまった理由、わずかにでも信じた理由として次のようなものが上位を占めています。

  • 打ち消す情報が見当たらなかったから
  • 接種への不安を裏付けるような情報だったから
  • 接種をしないという判断の理由になるものだったから

参考:新型コロナワクチンと流言・デマの拡散

このような理由からワクチンに関するデマを信じた方が多いということがわかっています。

 

デマをデマだと断言できるのは、それを打ち消す情報があるからです。
打ち消す情報がない時、加えてそれに関する知識が不足している状態では「デマだ!」と断言することは難しいのではないでしょうか?

しかも、心の中には”不安”が存在していますから、「もしかしたら本当かも…」という焦りにも繋がってきます。

そこで「万が一にでも正しい情報だったら知らせたほうが良い!」「万が一にでも正しい情報なら、動いたほうが良い」となり、拡散したり行動したりしてしまうことにも繋がってきます。

そんな人が、一人、また一人と爆発的に増えるのがSNSですから、デマが一気に拡散してしまうのも無理はありません。

ちなみに…デマを打ち消す情報が見つからない理由

ちなみに、デマを打ち消す情報が見つからないのはなぜか?という点で、いくつかのポイントがあります。参考:新型コロナワクチンと流言・デマの拡散

検索エンジンを使っていない。つまりは確認作業が欠けている

ツイートの内容を検索エンジンにかけるとすぐにデマだと分かったり、それを打ち消す情報が見つかることもあります。

この”検索エンジンで検索する”というひと手間を省いていることによってデマ拡散に繋がっている可能性がありますってのが1点。

打ち消す情報が見つからない。未確定なので強く否定できない。

X(旧ツイッター)の中でデマと思わしき情報の文言を検索かけてみると似たようなツイートがズラッと出るだけで、それを打ち消すようなツイートが目につきにくい。なんてことが起こり得ます。

ツイッターが検索ワードと同じ文言を使うツイートを優先的に検索結果に出すためでもあり、また、先鋭的なツイートほどそれを否定する情報がないためという理由もあります。

そのため”否定的な情報が出てこない→本当だ”と判断する人も少なくないようです。

だからこそ公的機関などは災害時こそ正しい情報を出し、デマを打ち消して…を積極的に行うべきなのですが、公的機関などは情報の真偽を確定させてから発信しようとするので、デマに対して一歩二歩遅れる傾向にあるようです。

つまり・・・

災害時などにSNS(主にX)でのデマ情報を防ぐ方法は何かあるのか?という問いに対しては、”ない”と結論付けるしかありません。

デマが拡散する背景には「不安」という感情があり「善意」によって行動が為されるという構造が災害時の不安な心理と多くの人を助けたいという善意とマッチしますし、特にそういった感情と思いが強くなる状況にあります。

 

そのデマ情報をデマと判断するには、デマであると確信できる情報を手に入れることが非常に重要なのですが、デマ情報をデマだと確定するための情報が出てくるまでにはどうしても時間差があります。

「動物園からライオンが逃げた」というデマが流れても、これがデマだと確定できるのはその動物園の関係者や公的機関が「逃げてません」と否定する発信をした後ですし、その否定情報が出るまでは本当にライオンが逃げたと思ってしまう人が居るのは無理がないかもしれません。

 

だから、いっそのこと、割り切るほうが予防になるかと思います。

震災やパンデミックなどの人々が不安になる時期には、デマが広がりやすい条件が揃う。普段の自分自身のような判断力はすでに無くなっている状態ですから、騙されやすくなっていると割り切るほうが良いかと思います。

その上で、だからこそ、公的機関などの信頼できる情報源だけを頑なに信じるぐらいが丁度いいのかもしれません。

 

極端に言えば…

  • 公的機関の情報しか受けつけない
  • 何も発信しないし拡散もしない

ぐらいが丁度良いのかもしれません。