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週休3日制とは?導入による成功事例と失敗事例からメリットを解説

週休3日制を導入する企業が増え、成功事例や失敗事例がチラホラと出始めています。

今朝の日経新聞にはアクセンチュアが週休3日制を導入してよかったとする記事が掲載されていました。人材不足に悩む今の日本において、いかに多く働かせるのかよりも、いかに多くの休みを確保するのかが実は人材不足の解消につながるかもしれません。

そういったことから、週休3日制導入を前向きで検討することが、活気があり、楽しく仕事ができる職場を維持することに繋がると言えます。

週休3日制とは何か

週のうち休日を3日とする制度のことを指します。
ワークライフバランスの向上や少子化対策なども踏まえて導入する企業が増えつつあります。

中には週休4日制を導入している企業もあります。

しかし、今の売上ないし利益を確保できるのかという疑問も残るため、導入に躊躇する企業も少なくないのが現状のようです。

事例

日本で「週休3日制」を定着させ、生産性を高めるモデルが出始めた。アクセンチュアは2022年に約100人の社員が利用し、制度当初の10倍に増える。人事評価は相対ではなく、時間あたりの達成度にし、チーム指揮者への抜てきもある。かつて「激務で不夜城」との声もあったが、15年から働き方改革で社風を変え、離職率は半減した。世界に先んじて人口が減る日本こそ、多様な人材が活躍する職場づくりの巧拙が問われる。

アクセンチュア、週休3日で成果 離職率半減 - 日本経済新聞

週休3日制のパターン

週休3日制には次の3つのパターンに分けることができます。

  • 1日の労働時間が増えるパターン(Aパターン):1日の労働時間を増やすことで、週あたりの勤務時間がこれまでと変わらないようにする。これまでと変わらない給与を受け取る。
  • 給与が減少するパターン(Bパターン):1日の労働時間は変わらず、勤務日数が減るため週の労働時間も減る。減少する給与を受け取る。
  • 1日の労働時間も給与も変わらないパターン(Cパターン):1日の労働時間は変わらず、勤務日数が減るため週の労働時間も減る。これまでと変わらない給与を受け取る。

どれを採用するのかは企業の判断によりけりです。

週休3日制を導入している企業一覧

この記事を執筆している現在で把握している週休3日制を導入している企業を一覧にしました。

  • 味の素AGF
  • アクセンチュア
  • 日立製作所
  • 日本マイクロソフト
  • 日本KFCホールディングス
  • 日本IBM
  • 東邦銀行
  • 東芝
  • 電通
  • 大和ハウス工業
  • 信州ビバレッジ
  • 佐川急便
  • 元湯 陣屋
  • 株式会社トットメイト
  • 株式会社DHコミュニケーションズ
  • 株式会社Blanc(ブラン)
  • ワコール
  • リクルート
  • ユニクロ
  • ヤマト運輸
  • プリモ・ジャパン
  • ファミリーマート
  • ファーストリテイリング
  • ネクストビート
  • トットメイト
  • スパイシーソフト
  • スカイマーク
  • シノケングループ
  • シグナルトーク
  • シオノギ製薬
  • サタケ
  • クリエイティブアルファ
  • オリコ
  • ウチヤマホールディングス
  • イートアンド
  • アルペン
  • Zホールディングス
  • Yahoo!
  • TOKYO BIG HOUSE
  • SOMPOひまわり生命
  • Panasonic
  • NEC
  • DHコミュニケーションズ
  • Blanc
  • 600

週休3日制を導入した企業に起きる良い変化

週休3日制を導入した企業にはどのような変化が起きるのかについてまとめました。

生産性

週休3日制での生産性向上に関しては事例が出始めております。

おおむね週休3日制を導入して良かったという事例が多く見られ、引き続き週休3日制を維持していく意向のようです。

週休3日制を半年導入した61社の売上高は平均1.4%増え

英非営利組織「4デイ・ウィーク・グローバル」の調査では、週休3日制を半年導入した61社の売上高は平均1.4%増え、9割超の企業が週休3日を続けると回答した。

週休3日でも増収 - 日本経済新聞

労働生産性は40%上昇

日本マイクロソフトが2年前に週休3日制を試験的に導入したところ、労働生産性は40%上昇。

週休3日制になると生産性は上がるのか?導入企業に聞いた|日刊ゲンダイDIGITAL

ストレス

週休3日制を導入することで得られるメリットとして、週休3日制によって従業員のストレス軽減が挙げられることがよくあります。

では、実際に週休3日制がストレス軽減につながっているのか?を調査したところ、おおむねストレス軽減につながっているという調査結果があがっています。

従業員のストレスレベルは45%から38%にまで低下

週休3日制の試験導入およびその効果の分析は、Perpetual Guardianおよびオークランド大学、オークランド工科大学の研究者たちが協力して行いました。調査では2017年に行われたPerpetual Guardianの従業員を対象とした調査データとの比較から、週休3日制の導入により従業員のリーダーシップ・興奮度・自信度・責任感といったポジティブな項目のスコアが増加したことが確認されています。なお、週休3日制の導入により特に増加したのは自信度と責任感に関するスコアでした。

同時に、従業員のストレスレベルは45%から38%にまで低下。さらに、ワーク・ライフ・バランスに関するスコアは54%から78%にまで上昇したそうです。なお、ワーク・ライフ・バランスというのは、「仕事と生活の調和」を指す言葉で、週休3日制の導入により従業員が仕事と生活の調和が進んだと感じるようになったことを表しています。

週休3日制を導入するとストレス軽減&生産性が20%も向上し、週休2日制と変わらない仕事量を維持できることが明らかに - GIGAZINE

離職率

週休3日制が導入された企業の社員の離職率は、導入前に比べて低下しているようです。

公益財団法人介護労働安定センター

離職率は1.2%程度と業界平均15.4%を下回り、人材不足を解消。

社会福祉法人 幸知会 トータスホーム | 働き方改革特設サイト | 厚生労働省

介護職は人手不足が続いており、なおかつ離職率も高い業界でもありますが、離職率1.2%という低離職率を実現し、なおかつ求人への応募も殺到ということも相まって、人材不足を解消されています。

社会福祉法人 永春会-

離職率は30%から現在は5~10%まで下がりました。新規の採用に関しても、制度にご興味を持って応募してくる方は増えています。

週休3日、夜勤なし!選択制正職員制度で離職率低減を実現-社会福祉法人 永春会- きらケア研究所

人員不足解消

離職率低下に一定の効果が見られることから、週休3日制は人材不足解消を促す効果が期待できます。

週休3日制を導入したことでの失敗事例

週休3日制の導入で成功した事例ばかりではなく、失敗事例もあります。
その失敗事例の背景には次のようなものがあるそうです。

  • 人手不足や業務量の増加に対応できない:週休3日制を採用することで、社員が仕事に充てられる時間が減る可能性があります。総労働時間を保つケースを除いては、週休2日の場合よりも1人あたりの労働時間や作業量が減ることを踏まえた上で、人員を確保する必要があります。しかし、人員確保が難しい場合や、業務量が増加する場合は、週休3日制では対応できないこともあります。その結果、社員の負担が増えたり、業務の品質やスピードが低下したりする恐れがあります。
  • 勤怠管理や給与体系が複雑化する:従業員を一部に限定して週休3日制を導入した場合や、休み方が多様化する場合は、勤怠管理や給与体系が複雑化することにも注意が必要です。新しい制度の設計や、勤怠管理システムの見直しなどの手間がかかる点はデメリットと言えます。また、従業員間で不公平感や不満が生じることもあります。
  • 取引先との連携が困難になる:平日に新たに休日を設定する場合は、取引先が連絡をとりたい時に従業員が出勤していないこともありえます。その場合、取引先との信頼関係やビジネスチャンスを損なう可能性があります。週休3日制導入にあたり、取引先への説明や連絡体制の整備が必要です。
  • 社員のモチベーションやパフォーマンスが低下する:週休3日制は、社員のワークライフバランスや生産性を向上させることを目的としています。しかし、社員によっては週休3日制に適応できないこともあります。例えば、1日当たりの労働時間を増やすパターンでは、社員の疲労度やストレス度が高まることも考えられます。また、給与水準を下げるパターンでは、社員のモチベーションやパフォーマンスが低下することも考えられます。

まとめ

週休3日制を導入する企業が増えつつある昨今、成功事例や失敗事例を基にどのような変化が起きるのかをまとめました。

結論を言えば、週休3日制導入を前向きで検討することが、活気があり、楽しく仕事ができる職場を維持することに繋がると言えます。

当然そのためには生産性の向上や連携強化などの課題はありますが、前向きに取り組むことで得られる果実は大きいものがあると思います。